非日常の時間
かつては政府の特別貿易港として活気あふれる街であった。その当時を偲ばせる建築物が建ち並ぶ門司港のレトロ地区。そのなかでも最もロマンチックな場所と言われる、関門橋を臨む第一船溜まりに面して門司港ホテルは建っています。世界的な建築家のアルド・ロッシ氏が最後に手掛けたこのホテルは、斬新なデザインと色使いの中にもスッと溶け込める居心地の良さがあり、エントランスをくぐった瞬間から日常を忘れさせてくれる空間です。アルド・ロッシ、浅葉克己、内田繁といった世界的クリエイターがこの地をイメージして造りあげた箱船です。船をイメージして造られたアースティックな外観が、港町の風景にも調和しています。食の贅沢を楽しませてくれるのは、メインダイニングのトラットリア・ボルトーネ。ヨーロッパとアジアの素材や調理法をバランス良く融合した料理は、その日にとれた魚介類や旬の地元食材を使い、ゲストのリクエストに応えたおまかせコースとなっています。料理は陶器に盛られて料理と器が一体となり、食の芸術が楽しめます。さらに、中央のオープンキッチンを囲むように配置されたテーブルに届く調理の音や香りがさらに食欲を増幅させ、シェフは直にゲストの顔を見ながら、料理全体のバランスを考えていきます。窓の外に広がる海峡の景色も色を添え、美味なる時が過ぎていきます。ノスタルジックな港町の風景を眺めながら、客室でくつろぐことに徹するのも、このホテルでの贅沢な時間です。客室は6タイプに分かれ、室内をそれぞれ違ったイメージカラーで統一され、2層吹抜けのスイートルームも一度泊まってみたい。それでもぜひ海側の部屋をとって、窓際に造られたバーカウンターで、好きなお酒でも飲みながら海峡を行き交う船を眺めつつ、何事にも邪魔されないプライベートな時間を楽しんでみては如何でしょうか。日常と少し距離をおきたい時や、一人きりの時間をここで待つのも悪くないと思います。